CLOSEOPEN

CLOSE

News お知らせ

学校長より在校生へのメッセージ

2020.04.08

「外に出るな 勉強しろ 〜自分そしてみんなのために」

■決して他人ごとではなくなった
 最近では、スポーツ界や芸能界を初め、親しみのある身近な人たちのコロナウイルス感染の知らせが伝えられます。ご本人や家族の方たちの心配や不安はいかばかりかと感じています。また、若い人はかかりにくいと当初は言われていましたが、最近はむしろ若い人たちの感染者が増えてきています。これまで、他人事のように考えていた人もいるかも知れませんが、自分のこととして考えてほしいと思っています。

■人生には区切りの機会が大切だ
 2月末には、「なんで休校?」と思っていた人も多かったと思います。準備をしていたはずの学年末試験が中止になり、しっかりと勉強していた皆さんの中には「試験があったらもっと成績が良かったかも」という思いがあったでしょう。また、生徒会が中心となって開くお世話になった先輩を送る卒業生を送る会も中止に、卒業生との別れを惜しむ卒業式・修了式も在校生の参列はなくなり、ひとり一人に証書を渡せませんでした。
 こうした毎年繰り返されていて当たり前だと思っていた行事が、実は皆さんひとり一人にとって気持ちに区切りをつけ、次のステージに進んでいくための大事な原動力になっていた事に改めて気がつきました。
 先生方しかいない、がらんとした学校。これまでも夏休みなどの長期休みであっても、クラブや勉強などで、誰か生徒が学校にいる状況でした。生徒のいない学校がいかに空虚で、満開の桜の下に皆さんの声が聞こえないことが、こんなにも寂しいとは・・・・

■機会を奪ってごめんなさい
 また、中学の英語プレゼンテーション大会、中1の聖徳映画祭や、また中3の武蔵野市貢献授業の発表会、高校の国際貢献プロジェクトの発表会、または吹奏楽部、合唱部、和太鼓部などの定期公演も中止・延期してもらうことになりました。クラブ活動や春季の進学セミナーもできなくなりました。特に、仲間と身体を動かしていた運動部の皆さんは、日々の活動はもちろん、目標としていた大会なども中止になり、大きなストレスがたまっていると思います。

■やっばり、友達一緒にいるっていいなあ
 3月25日は、クラス単位で時差を設けての終業式を行いました。皆さんが楽しそうに学校に来て、友達に抱きついたりする人もいました。感染防止の観点からは「おいおい、それはまずいでしょう」と心配にもなりましたが、どんなにコミュニケーションツールが進歩しても、人と人が一緒にいるという事の大切さは変わらないと感じました。
 その終業式も、私のメッセージを動画配信で見てもらう形となり、4月7日の始業式にまた会いましょうとお話し、新学期に向けた学校再開の準備を先生方は進めてきました。

■次に学校に来るのは5月7日
 コロナウイルスの感染が急増する中で、全員がそろっての始業式が難しくなりました。しかし、始業式は皆さんにとって、1年の中でも最も重要な日でしょう。誰とクラスが一緒になるかドキドキしながら登校して、クラス名簿をもらって友達と喜んだり、悲しんだり。そして、教室で新しいクラスメートや担任の先生に出会います。
 新しく始まる1年に、がんばるぞという決意を持つ大切な日。せめて、登校日という形でクラス単位にして広い場所でできないかと考えました。しかし、それも無駄なあがきになってしまいました。東京都の週末の自粛要請、そしてついに国による緊急事態宣言が出されることになり、本校も5月6日までは休校措置をとる事にしました。そして、皆さんは、その期間登校することが出来なくなります。感染拡大はいつ終わるのか、5月7日から本当に学校が再開できるのか不安に思っている人も多い事でしょう。

■学びを止めるな
 本日皆さんに最も訴えたいのは、「学びを止めるな」という事です。同じ休校でも、3月の時とは違います。3月の休校時は、ほぼ1年の学習内容が終わり、学年末試験を待つばかりの状況でした。しかし、現在は新しい学びが始まる大切な時期です。1年の学びの基礎を作る時期です。ですから、先生方はなんとか皆さんに少しでも勉強してもらいたいと工夫を始めています。先生方も基本的には在宅勤務になりますので、学校からのように十分な指示ができないかも知れませんが、後で、休校期間中の自宅学習用の時間割や課題などを配信します。しっかりと学びを続けてください。

■こういう時だからこそ、文化に触れよう
 また、不要不急の予定の自粛が求められる中で、大きな影響を受けるのが文化です。コンサートの中止や美術館・博物館の閉館が続いています。確かに、文化がなくても人は命を保つことができるでしょう。しかし、文化こそが人間を人間らしめているものだと思います。
 本校では、図書館に来ることはできませんが、電子図書館で本を借りることもできます。すでにアカウントなども配布されていると思いますので、この機会に読書を通じて、文化に触れ、自分の世界を広げてください。また、ネット上では、普段なら高いお金を払わないと見る事ができない映像やコンテンツが沢山無料で公開されています。「文化にふれ、心を磨くこと」も大切な勉強です。

■君たちは恵まれている方だ~感謝の気持ちを
 休校期間中は、外に出かけることもできず、友達と遊ぶこともできない。親の顔を見てばかりいて、イライラするなんて思う人もいるかも知れません。でも、皆さん以上に大変な人たちがいるのを忘れないでください。
 たとえば、感染のリスクと戦いながら、患者の命を救うために奮闘している医療関係者の方々の活動には本当に頭の下がる思いです。他にも交通や流通など社会生活を維持するためにお仕事を続けていらっしゃる方もいます。中には仕事をしたくても自粛を要請され、大変困難な状況になっている方もいます。そういう方々に比べると、皆さんは恵まれています。家から出歩かなければ感染の危険性はありませんし、ご家族がご苦労されているので、皆さんの衣食住は保証されています。そのような周りの方々によって支えられている事に、感謝しなくてはなりません。自粛要請の中にもかかわらず、渋谷で遊んでいる高校生の姿をテレビで見ると本当に悲しくなります。

■今の君たちの学びが将来、他の人を救う
 学びとは自分のためにだけする事ではありません。たとえば、世界中で医療関係者の方が頑張っておられます。しかし、仮にもし家族の中に罹患した方が出られたとしても、皆さんは励ますことはできても、家族の命を救う事は出来ません。医師・看護師・さまざまな機器を扱う技師、薬の開発に当たる方など多くの人の努力で医療は維持されています。それらの方は大変厳しい勉強をして、専門的な知識・技能を身につけているから、人の命を救うことが出来るのです。今は時節柄、医療のケースを取り上げましたが、どんな分野でも同じです。
一生懸命に勉強したからこそ、他の人のために働けるのです。繰り返しになりますが、
「だから、学びを止めるな 自分ため、そして他の人ためにも」

■休校中の生活について
 休校中は基本的には学年から出された時間割に従って勉強してください。そして、感染拡大を防ぐためにもむやみに外出しないようにしましょう。特に3密と言われる空間には立ち入らないよう努めてください。皆さんが感染してしまうと、ご家族にうつしてしまう危険性もありますし、予定した通りに学校再開は難しくなり、多くの人の生活に影響を与えてしまいます。十分な睡眠とバランスのとれた食事を心がけ、深夜に及ぶスマホ等の使用は避け、生活リズムを整えるよう心掛けてください。

■Hope to see you again
 学校再開は、ゴールデンウィーク後の5月7日(木)を予定しています。それまでの間は、先生方の指示に従って、しっかりと勉強を続けてください。また、適宜、学校から連絡がありますので、トークノートをしつかりと確認してください。
 再開後はすでにお話ししたように、連休明けの宿泊行事や体育祭も延期され、1学期の終業式も7月末になります。夏休み中の宿泊行事もすべてが中止・または延期されます。このように学校行事は例年と大きく異なることになりますし、また、今後もさらに変更を余儀なくされることもあると思います。皆さんの協力を切にお願いいたします。
皆さんの声が学校内に満ち溢れる、そんな日々が再びくるよう、今は一人一人ができる事をしっかりとこなしていきましょう。

2020年4月8日
聖徳学園中学・高等学校
校長 伊藤 正徳