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News お知らせ

高校入学式

2020.06.15 きめ細やかな教育

6月13日(土),高校の入学式を行いました。

三密を避けるということで,5クラスが1クラスずつの入学式となりました。

<学校長式辞>

桜の季節は遠く過ぎ、梅雨の訪れを迎える季節になりました。

本日はお足元の悪い中、入学式のためにご参集いただき、誠にありがとうございました。

新入生のみなさん、聖徳学園高等学校へのご入学おめでとうございます。

在校生・教職員も皆さんを心から歓迎いたします。コロナウイルスの感染拡大で、今日まで入学式をお待たせしてしまいました。

そして、本来ならば高1一年生全員が参加し、ご来賓、在校生を初めとして多くの人でお祝いすべきところですが、まだまだ密集した環境や大人数での集会は避けなければなりません。そこで、このようなクラス単位で保護者の参列も1名でお願いするというかなり簡素な式になってしまったことをお許しください。

保護者の皆様、入学式も開けないまま休校という事態となり、ご心配・ご負担をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。本日、数々の困難を乗り越えてきたお子様の晴れ姿を見て、感慨もまた格別であると存じます。高等学校での学びは、その後の人生の方向をきめるとても大切なものです。私ども教職員、その事をしっかりと肝に銘じて教育にあたってまいります。

さて、新入生の皆さん。現在、世界中の人がコロナの影響で様々な生活の制限を受けています。みなさんもその1人です。せっかく高校に入学して、さあこれからがんばるぞと思った矢先、学校は臨時休校となり、クラスのメンバーも良く分からないまま、WEBでの授業が始まりました。「なんでこんな思いをしなくてはならないのか」と感じた人も多かったことでしょう。

先が見えない不安の中で、先日、私にとってうれしい出来事がありました。162の全国の花火師の人たちの取り組みです。悪疫退散を祈願し、人々に花火を見上げて笑顔になってもらうため、6月1日の午後8時から5分間、全国各地で一斉に花火を打ち上げました。混雑を避けるため、花火を打ち上げる場所は全て非公開にし、秘密のうちに準備をしなくてはならず、実施までには大変な苦労が伴いました。夏の花火大会がほとんど中止となり、仕事がなくなって自分自身が苦しいのに、他の人の気持ちを考える事ができるなんて、なんと素晴らしい方たちなのかと感動しました。
その企画に込められた「上を向いて歩こう」とのメッセージを受け、いつもはほとんど見上げることのない私ですが、夜空をみあげてみるようになりました。地球上の混乱をよそに凛として輝く星を見て、その星について調べていると、今日、6月13日が「はやぶさの日」という記念日である事を知りました。

「はやぶさ」とは2003年に小惑星に向けて日本が打ち上げた無人の探査機です。そのミッションは、地球から約三億kmも先、しかも直径がわずか540mのイトカワという小惑星に降下して地表のサンプルを採取し、地球に持ち帰るというものでした。サンプルの回収に成功すれば、太陽系の起源について知ることができるかもれないという大きな科学的意義を持つものでした。

しかし、その地球への帰還は困難を極めました。燃料漏れに加えてイオンエンジンが停止するなどトラブルが相次ぎ、ついには地球からの通信が不通となり、探査機の制御ができなくなるという絶体絶命のピンチを迎えました。しかし、「はやぶさ」はそのトラブルを克服し、6月13日に約60億kmの旅を終えて7年ぶりにサンプルを持ち帰るのに成功したのです。月以外の天体に着陸した探査機が地球に帰還したのは世界で初めの快挙でした。

花火師たちの取り組みや「はやぶさプロジェクト」が成功した理由は、色々あるとは思いますが、私にはどんな困難の前でも決してあきらめず、多くの人が協力したことがあったと思います。一人では不可能でも多くの人の力で可能になる。まさに、私たち聖徳学園が大切にしている「和」の精神です。

これからの3年間の高校生活では、漫然と時間を過ごすのではなく、違いを認めて協力し合う事の大切さ、失敗を恐れずに挑戦することの面白さを学んでください。

そして、何があっても絶望しない、諦めない気持ちは、時として自分だけでなく周囲を変えてしまいます。そして世界までも。コロナで冷めた心に、もう一度火をつけましょう。皆さんの高校生活が笑顔に満ちたものであることを心から願い、お祝いの挨拶を結ぶことにいたします。